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By all means・・・シベ超!!!

「シベリア超特急」という映画があります。
自称映画評論家の水野晴郎監督作品です。
まー、言ってみれば「トンデモ映画」です。最初に言っときますが、内容自体は、ホントどうしようもないです。はっきり言って、ゴミのような映画です。しかし、私はこれをれっきとした映画として認めています。
ヴ○ム・ヴェンダースとかの、芸術を気取っているだけでただの退屈な映像と比べると、月とスッポンくらいに評価してます。


「シベリア超特急」(以下「シベ超」と略す)が公開された時、それは嘲笑の嵐を浴びました。当たり前です。内容が内容でしたから。
棒読みの台詞。チープな内容。動かない列車(のセット)。ドリフの大道具さんでも、もうちょいましなセットを作ります。
これで終わっていたら、水野晴郎(以下「閣下」と略す)は、ただのバカで終わっていたことでしょう。
しかし、閣下は性懲りもなく二作目を作りました。
しかも、内容は一作目と似たようなサスペンス仕立て。変わっていたことと言えば、「超特急」とタイトルについているのに、「超特急」が出てこなかったことくらいです。
この二作目以降を作り始めたことに、大きな意味があるのだ思います。
シベ超という名の、一つのムーブメントが動き出したという意味で。

そう考えると、一作目の列車のセットが微動だにしなかったことも頷けます。なにしろ、シベ超という壮大な企画は、まだ始動していなかったわけですから。
かくして、超特急は走り出しました。相次いで三作目も作られ、四作目は映画を飛び出して舞台になりました。勢い余って七作目の「007」が作られ、次いで五作目も公開。六作目も既に構想は固まっています。

こうして、連作が続いていく中で、見る側の反応も変化してきたのではないかと思います。
最初の方で「嘲笑の嵐を浴びた」と書きましたが、今は明らかに違います。素直に笑うようになったのです。
たとえば、閣下の台詞棒読み。一作目では、演技力の無さを笑っていました。しかし、二作目以降では、閣下に演技力がないのは当たり前で、棒読みを毎度同じように「お約束」としてやってくれることに笑い始めたのです。そしてその笑いは、一つのスクリーンを、シベ超を知る多くの人々とともに共有することで、増幅されるものなのです。


閣下がなぜシベ超を作り始めたのか。
おそらく、閣下にとって、あくまで自分にとっての映画とは何なのかを見つめ直すことではなかったかと思います。それはひとつのノスタルジーでもあったのだろうと思います。

閣下が一番映画を見たであろう時代は、映画がまさに大衆娯楽の王様だった時代でした。
観客は映画館に集い、多くの人々と大スクリーンの中で展開されるストーリーを共有して、共に笑い、興奮し、そして泣きました。

20世紀のトップランナーだった映画は、時代を降るにつれ、その性格を変えていきました。「名画座」の類はビデオやDVDに駆逐され、郊外型のシネコンが増える中で、気軽にいける「街の映画館」は姿を消していく趨勢にあります。

「映画はみんなで観るものだ」という考え方は、段々と少なくなりつつあるような気がします。
閣下は、そのような時代をどう考えるのでしょうか。
閣下自身、金曜ロードショーを降板した理由について、「本当に「いいものですねぇー」と言える映画が少なくなった」と語っています。また、こうも言っています。「映画は楽しくなきゃ」と。

閣下が過ごした映画全盛時代には、「総天然色」やら「シネスコ」やらといったものに、ワクワクする人々は少なくなかったに違いありません。シベ超には、「マイクカラー」という謎の技術や、マルチスクリーンがやたらめったら多用されるのは、昔の新技術へのノスタルジーに他なりません。
そして、そうした技術の多くは、劇場でこそ発揮されるものが多かったのです。


シベ超を、たくさんの人たちと観ると、確実に幸せな気分で劇場を出ることができます。それだけで、立派な「映画」であると、断言したいです。

劇場で、多くの人々と、同じ経験を共有することが、こんなに楽しいことなんだという、映画の楽しさの一つを再認識させてくれた、そして、幸せな時間を提供してくれた、水野晴郎先生に、敬礼!!!
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まさか、これが来るとは思いませんでした。

が、おっしゃることには全面的に賛成です。
もし、映画というものが、その時間を俗世から別の世界に連れて行ってくれるものだとしたら、
シベ超は、アナザーワールド、桃源郷行きの列車なのです。

コメントが遅れました。

「映画はエンターテインメントだ」という考えがもともとあって、それには色々な形があって良いではないかということを、思ったわけです、自分的には、はい。

だから、シベ超みたいなのもありなんじゃないのと、思うわけです。それなりにまじめに。

あと、シベ超みたいなものを観てもいないのに、始めから罵倒する者や、鼻で笑う者に対する腹立たしさみたいな物もあったりします。
というわけで、少しくどい文章を書いてしまった次第です。。。
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冬は雪がドバーッっと降り、夏は盆地なので暑いというところに居住しております。
なにはともあれ、ガソリンの価格低下を、日々願う今日この頃です。

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